美意識が高く、感性と直感力に優れた人が好む「紫」。
精神的な豊かさを持ち、困った人には手を差し伸べる優しさと癒しを与えられる人と言われています。
芸術家肌で自分の世界に没頭する少々ナルシストタイプの面もあるかもしれません。そんな紫色について、少し紐解いてみましょう。どうやら自然界は意外と紫があふれ、古くから、紫という色は人々の暮らしに深く馴染みがあったようです。

紫は直感的能力に関係する色で、レオナルド・ダ・ヴィンチは「紫の光の下で瞑想を行うと、偉大なインスピレーションが湧いてくる」という記述を残しています。霊的な能力を高める効力を持つと言われる紫水晶(アメジスト)はキリスト教では司教の石とされ、日本でも勾玉として祭事に使われていたことが分かっています。「誠実」「平和」「高貴」「純愛」などの石言葉を持つアメジストは、現代でも人の心を安定させる働きや魔除けの意味を持つパワーストーンとして人気なのです。

心に安らぎをくれる癒しのカラー

紫は癒しの色でもあります。神経過敏や緊張状態が続いている時、疲れた心身に安らぎをもたらします。
周囲への気の使いすぎや頑張りすぎの疲労が頭や肩に来ているなと感じたとき、紫の花ラベンダーのエッセンシャルオイルを使ってアロマセラピーを楽しむのもおススメです。
藤、菫、紫陽花、杜若、菖蒲、桔梗・・・春から夏にかけて見ごろを迎える花たちには紫色がとても多くあります。ぜひ、自然の紫色を目から楽しんでみてはいかがでしょう。

古くから高貴の象徴だった紫

紫は、染料が希少で高価だったことから様々な国で高貴、高位の象徴として尊ばれてきました。
古代ローマでは皇帝シーザーが愛し、独占したことからロイヤルパープル(帝王紫)と呼ばれ、代々の皇帝の色とされてきました。古代エジプトの女王クレオパトラはローマに向かう船の帆を紫に染めたと伝えられています。
皇帝紫の思想は、中国隋・唐の時代に仏教伝来などと共に日本にも伝えられます。飛鳥時代に聖徳太子が定めた冠位十二階の制度では、最高位の「徳」に紫が与えられました。日本では紫草の根から染色する方法が一般的でしたが、この紫草の根には、解熱や解毒効果があったことから、病気になると紫の鉢巻(病鉢巻)を頭に巻いて症状を和らげるといった考え方があったようです。
時代劇中で殿様が紫の縮緬の鉢巻をまいて横たわっている姿、見た事があるのではないでしょうか?
また、寿司屋で醤油のことを「ムラサキ」といいますが、江戸時代に紫根染と醤油が同じくらい貴重だったことからこの名前になったという説もあります。

紫の色素「アントシアニン」

ブルーベリー、カシス、プルーン、紫芋、ブドウ、ナスなど紫の食材が目によいというのを聞かれたことがあるのではないでしょうか?これらに含まれる青や紫の色素成分であるアントシアニンは、植物が紫外線から実を守るために蓄えられる抗酸化物質であるポリフェノールの一種です。これが強い抗酸化力を持ち、目の働きを高める効果や眼精疲労の緩和が認められているのです。
目を酷使している私たちの毎日に意識的に摂りたい色ですね。

意外と私たちの身の回りにたくさんの紫があふれています。
自然の中から紫色の力を借りて、カラーから暮らしを豊かにしてみませんか?
(本記事はwebマガジンに掲載した内容を一部編集しています。)