人の気持ちを穏やかに優しく、暖かくしてくれる幸福の色「ピンク」。
他人の役に立ちたいと人にたくさんの愛情を注ぎ、平和を求める人が好む色と言われています。
そんなピンク色がもつ色の力、紐解いてみましょう。

ピンクが気になる時、他人への愛情と同じだけ愛が欲しい人なのに、自分を犠牲に頑張りすぎてストレスをためているときかもしれません。
かわいい、優しい、愛情、ロマンチック、甘い・・・など、女性をイメージさせる色の代表で、乳がんのピンクリボン運動をはじめ、商品のパッケージデザインなど女性をターゲットにしたあらゆる場面でピンクが活用されています。

海外から見た日本のカラー

梅、桃、桜、躑躅、牡丹と美しいピンクの花々が色づく春。まさに日本の春を象徴する色の一つでしょう。以前、色彩学の授業で担当していた留学生に「日本を色で表現すると何?」という質問をしたところ多くの学生がピンクと白をあげました。彼らは揃って「桜と雪」を日本らしいイメージとして答えたのです。
現代では桜といえば薄いピンクの花をつけるソメイヨシノがお馴染みですが、「桜色」という色名が生まれた平安時代ではヤマザクラが主流で、赤い若芽と白い花弁が遠景でピンクに見えたことから名づけられたとの説もあります。宮中の人々が桜を愛でるお花見の様子は源氏物語にも描かれています。

四季を感じる、かさねの色目

日本独自の文化が構築された平安時代、貴族たちは季節の彩りと、その時々の感情を歌に詠むことが教養とされました。常に四季の変化や自然美を意識した生活をしていた結果、雅な色彩文化が発展していきます。平安装束である袷(あわせ)の表地と裏地の配色を「重ね」(かさね)、十二単のように衣装を重ねて着る際の配色を「襲」(かさね)と呼び、それらを総称したものを「かさねの色目」といい、四季折々の植物や風物にちなんだ名称がつけられました。
着用に関しても時期、性別、年齢、シチュエーションなどが細かく定められながらも、着用のタイミングや色の濃淡などの着こなしのセンスがこの頃から競われていたのです。
「梅の襲」「桃の襲」「桜の襲」「躑躅の襲」「牡丹の襲」と春を代表するものには多くのピンクの「かさね」を見ることが出来ます。

幸せホルモンをアップさせてくれる、ピンク

今季のファッションのトレンドカラーの一つとして注目され、ファッション雑誌には特集が組まれ、アパレルショップでも濃淡様々を見ることが出来る「ピンク」。
普段は着ない色という方にも、今年の春は「ピンク」にチャレンジする良い機会かもしれません。男女問わず、血色がよく肌色が明るくなることに気付かれるでしょう。それでももし、ピンクを着ることに抵抗があるなら下着や部屋着、普段使うタオルや寝具などに取り入れてみるのはいかがでしょうか。
ピンクは、幸せホルモンと呼ばれるセロトニン(脳内神経伝達物質)の分泌を促進させる効果があると言われています。イライラした気持ちを落ち着かせ、不安を軽減する効果が期待できます。
また、女性ホルモンの分泌や若返りホルモン(成長ホルモン)の分泌にも作用することが分かっています。ピンクが心身の健康や若返りに繋がるのならば、生活に取り入れたいですね。
(本記事はwebマガジンに掲載した内容を一部編集しています。)