「金」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか?
光り輝く金メダルなど、特別で華やかなイメージが強い色ですよね。
金色は、「強い自分でありたい」「成功したい」など、大きな目標に向かって粘り強く乗り越えていく強さを持った人が好む色でもあります。そんな方はきっと、自分の欲だけでなく、人にものを与えることに喜びを感じられる、優れたリーダーでもあるはずです。
秋になると収穫を迎える、黄金色の稲穂を想像してみてください。「金」は収穫や「富」の象徴でもあります。

ネーミングに高級感をプラス

私たちの身近な商品で「プレミアム」などとネーミングされたものに金がよく使われていますね。高級感を表現するうえで最も効果的な色です。「高級」「お金持ち」「派手」「ゴージャス」などといったキーワードを持つので、輝きが際立ち、高級な印象を与えワンランク上の商品として格差をつけるのに有効です。ブランドのステータスを強調する際にも使えます。一般的には高級感を出すときには黒や紺など暗い色彩を使用しますが、これだけではユーザーの行動を抑える鎮静作用が働いてしまいます。そこで金を加えることで行動を促進するとともに、高級感も生まれます。ゴールドカードやゴールデンウィークなど特別なものを意味する表現にも使われますね。

歴史の中での金

仏教の世界では「永遠不滅」を意味し、至高の精神世界の象徴である金は、古く東北地方などで豊富に収穫されていました。それらの金を用いて栄華を極めていたのが、豪族奥州藤原氏であり、1124年、現代の岩手県に極楽浄土を夢見て中尊寺金色堂という仏堂を建立しました。天井や壁面には金箔がしつらえてあり、壇上には金で作られた仏像が配置されるといった豪華絢爛な作りでした。マルコポーロによって書かれた「東方見聞録」には多くのアジアの自然や宝物とともに、日本は「ジパング・黄金の国」と紹介されています。後に、足利義満の金閣寺や豊臣秀吉の金の茶室など、富と権力を誇示する色として使われていきます。
西洋でもまた、金は権力者の象徴であり、聖なるシンボルとして用いられてきました。メソポタミアのシュメール人は、紀元前3千年には金の頭冠を作ったといわれていますし、エジプトの古代王朝のピラミッドから発掘されたミイラの周辺は、豪華な金の装飾品で飾られていたそうです。権力の座に就いた誰もが身近に置きたいと願った、魔力を秘めた色なのです。

太陽の色

あなたは太陽を描く時、何色を使いますか?
日本では赤で描かれることの多い太陽ですが、他国では黄色やgolden sunshineと呼ばれる黄金色やオレンジがほとんどです。「サウンド・オブ・ミュージック」の1曲であるドレミの歌でも「Ray、a drop of golden a sun」(レは金色に輝く太陽のしずく)と歌われていますね。
(本記事はwebマガジンに掲載した内容を一部編集しています。)